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2026/11/02 09:39


この度、新銘仙『ヤナセ絣(がすり)』を発明開発し、特許取得したことをお知らせします。
秩父銘仙において新たな銘仙が開発され、特許承認されたことは、113年ぶりの快挙です。

■特許の概要
発明の名称:新銘仙『ヤナセ絣(がすり)』
特許番号:特許第7880573号
出願番号:特願 2022-169737(織物)
出願日/登録日:2022年10月24日/2026年6月18日
特許権者:秩父織塾工房横山 株式会社 (横山大樹/横山友子)

■新銘仙『ヤナセ絣(がすり)』の開発について
秩父織塾工房横山は、本来分業制作になっている銘仙(めいせん※1)のすべての工程を一貫して制作出来るよう整備している日本で唯一の工房です。昔ながらの銘仙の併用絣(へいようがすり※2)を再現復元をする中で、併用絣の技術を応用し開発したのが、この度特許取得をした秩父銘仙『ヤナセ絣』です。

銘仙の作業工程は白い糸を揃える整経(せいけい)という工程を経て、反物の幅に揃えた糸の束がずれないよう、ジグザグと粗く緯糸(よこいと)を入れて織っていきます。この仮織をした経糸(たていと)に捺染(なっせん※3)を施すことが銘仙の特徴の一つです。

新銘仙である『ヤナセ絣』は、この従来の織りと同じように経糸を捺染(※3)。緯糸は経糸と柄を違うものを型染めで一色ずつ色をつけることにより、平織では表現出来なかった奥行きのある、絵画のような作風になります。角度によって違う柄が浮き出ることや、絹独特の光沢感、光の角度や補色によって生まれる玉虫効果があり、なかでもヤナセ絣はこの立体感が特徴となっています。
職人の手で一点一点手間暇を惜しまず織り上げることで、まさに芸術品であり、美術品に値する一品が生まれました。


※1 銘仙(めいせん)
大正時代から昭和初期にかけて大流行した、手頃で庶民に親しまれたおしゃれな普段着の着物(絹織物)です。たて糸に柄を染めることで、裏表のない織物になるのが特徴です。

※2 併用絣(へいようがすり)
経糸と緯糸に同じ型染めで一色ずつ捺染したものを併せて織り上げる高度な技術が必要となる平織の技法です。銘仙の併用絣は現在、生産されておらず、2025年に秩父織塾工房横山が製造復元に成功いたしました。

※3 捺染(なっせん)
複雑で鮮やかな模様を、一型につき一色ずつ型染めを施し、染め上げる技法です。表現できるプリント染色技法です。


■秩父織塾工房横山 三代目 横山大樹よりコメント
祖父が織物業を始めてから、今年で101年を迎えました。
かつては秩父をはじめ、関東各地に多くの織元や職人が存在し、銘仙の華やかな時代を支えていました。しかし、時代の移り変わりとともに廃業される方も増え、今では当時の高度な技術を受け継ぐことが難しくなっています。三代目となった私も、銘仙の技術を残していくことの難しさに直面してきました。祖父が残した銘仙を手本に、試行錯誤を重ねながら、失われつつある技術の復元に取り組んできました。
二代目の父・敬司の晩年から、亡き師匠・浅見光一先生とともに、銘仙の中でも特に高度な技術を要する「併用絣(へいようがすり)」の復元に着手しました。完成までには20年の歳月を要しましたが、再びその技術を形にできたことを大変うれしく思っています。
また、研究の過程で生まれた「ヤナセ絣」も、私たちにとって大切な成果のひとつです。
現在は、新作のヤナセ絣の制作を進めています。完成の折りには、復元した併用絣とともに、来春の展示で皆様にご覧いただければと考えております。
一反の反物を織り上げるまでには時間がかかりますが、先人たちが築いてきた技術と銘仙の魅力を、これからも少しずつ形にしていければと思っております。

今後とも何卒よろしくお願いいたします。

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