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2023/05/25 19:49

秩父銘仙とは?What'sMeisen
~銘仙の工程と技法~

<整える・染める・織る>

整経(せいけい)
白いたて糸を一本ずつ揃える

仮織(かりおり)ジグザグとざっくり織る

捺染(なっせん)
たて糸に一色ずつ柄を型染めする

巻き返し
熱をかけて整えて巻き返す

糸染(いとぞめ)
よこ糸を染める

糸張(いとはり)
よこ糸のテンションを整える

引込(ひきこみ)
綜絖(そうこう)と筬(おさ)に一本ずつたて糸を通す

本織り(ほんおり)
染めたよこ糸で織る

<秩父銘仙の工程>

秩父銘仙は
白い糸をそろえていくところから物語は始まります。
白いたて糸をいっぽんずつそろえて。整経。

そろえた白い糸が動かないように荒く織ります。
ざっくりと。仮織り。
たて糸に柄を付ける時に糸に隙間が開かないように。
引き込みをして。よこ糸をジグザグと。


昔から使われている 天然コンニャクに染料をいれて。
一色ずつ柄を型で染めていきます。捺染。

一日寝かせておいた捺染したたて糸は、蒸して染料を定着させます。
たて糸の水分をタンプルにかけて熱で蒸気をとばしてまっすぐのたて糸に。


よこ糸の色をきめて染めます。時間をかけて丁寧にゆっくりと。
染め上がったら、きちんと糸を張って。
糸をきちんときれいに返せるように“アビソ(糸のガイド)”も丁寧にそろえていきます。
ひとつの手間が最終的な仕上がりに影響するのでひとつひとつ丁寧に真心を込めて作業します。
…よこ糸を染めるだけても、数日の手間がかかるんです。


はた織り機にかけてセットしたら綜絖(そうこう)という小さな穴に一本ずつ順番に通して。
筬(おさ)に隙間があかないように順番に通していきます。
間違えたら最初からやり直し。とても根気のいる作業です。


幾つもの行程を得てやっと織っていきます。
山登りで例えたら、八合目。頂上まであともうひと頑張り。
織るも大変。
織物は心の鏡。いまの気持ちが織り目にすべて映ります。

<秩父銘仙の技法と特徴>
“秩父銘仙”の特徴はたて糸に柄を捺染(なっせん)してからよこ糸を織る平織の技法。
たて糸を染めてから織ることで表裏が同じ模様のリバーシブルになります。
糸が微妙にずれて絣模様になります。細かいカスリ模様も特徴のひとつです。

はた織り機にセットして生地を織っていく時に
仮織りの糸を取りながら 織り進めていくので
ほぐし織りとも言います。

昔の人は着物は表地が汚れたら
洗い張りといって
仕立てた着物をほどいて洗ってまた裏返しにして
大切に大切に着たそうです。

ここで紹介したのは一部の工程で、もっとたくさんの工程を得てやっと一枚の布に仕上がります。
長い時間をかけて織りあがると
わが子のように愛しく思えます。

私たちの思いがたくさん詰まった秩父銘仙。
わくわく楽しい毎日の彩りになりますように。

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